【当社の働き方改革の取組み】営業アシスタントAさん、奄美の離島移住でテレワークに挑戦

【当社の働き方改革の取組み】営業アシスタントAさん、奄美の離島移住でテレワークに挑戦

日章アステックも働き方改革への取組みの一環として育児有給休暇や多様な就業環境への対応に取組んでいます。

離職の理由となりやすい出産育児や家庭事情などに対し、多様な就業環境への対応力を強化し、有能で経験豊富な社員の離職率を下げ生産性を維持する取組みを模索。労働力の慢性的な不足減少環境の中、採用力の弱い中小企業として大変重要な課題と位置付けています。

営業アシスタントのAさんは、2020年春、家庭事情で奄美の離島(鹿児島県)への移住を決心します。Aさん母子、小さな家族の大きな決断が生んだ離島でのテレワーク事例をご紹介します。

現地調査

比較的インフラが充実している奄美大島本島ではなく、「場所がやや特殊なため、電波のことが心配(Aさん)」な離島への移住。ネットはテレワークの命綱。本人はもとより、社長、営業部長はじめ関係者は一様に不安でした。移住まで時間がない事もあり、Aさん本人がPCや通信機材持参で現地調査を行うことに決定。コロナの禍中でしたが現地の協力も頂き、急遽奄美へ1泊2日強行軍の出張が敢行されました。移住が2ケ月後に迫った6月下旬のことでした。

Aさんには、自宅となる家屋からWi-FiでオフィスのPCを遠隔操作し日常業務を行ってもらいました。結果は、「一応業務はできましたが・・・通信が多少不安定で・・・」の「可」評価。不安を払拭するには至りませんでした。しかし、何度もキャリアや機材を替えてチャレンジする時間はもう残されていません。

テレワーク準備の本格始動

「やるしかない!やれるところまでやってみよう。」
杉田社長、営業部長や直属上司の強力な後押しで、本格的に離島テレワークの準備が始まりました。

営業アシスタント業務は、(1)販売データ操作、メール送受信、EXCELやPDF編集などパソコン業務も多くありますが、(2)電話応対 (3)FAXのやり取りなど、声や紙のアナログ的なコミュニケーションも当社にはまだまだ欠かせません。これらを遠隔地でどう実現するかを皆で考えました。

テレワーク用ITツールや機器の準備

(1)ネットワーク
PCリモート接続やIP電話等諸々使ってどれだけのデータ量が必要かわからなかったので、予備にauのモバイルルータ(7GB/月)を持参しましたが不要でした。

  • DoCoMoのWiFi(30GB/月)を法人契約し、ルータ~PC間は有線LANで接続。

(2)パソコン

  • 有料の遠隔操作型サービスを利用し二要素認証でログイン。

  • 手元PCには原則データを置かないので、シンプルで画面の広いノートPCとした。

(3)IP電話、IPファクス
お客様にご負担をおかけするわけにもいきませんので、電話・FAXはなるべく従来のやり取りに近い形になるよう配慮しました。

  • NTTコミュニケーションの050Plusを契約、個人スマホに電話アプリを導入(仕事OFFのときには着信しなくできる)。

  • ファックスは大阪06番号を持ったIPファクスのMOVFAXを契約。

(4)印刷環境
情報セキュリティ的にもペーパーレスが良いのですが、どうしても業務上紙が必要です。

  • A4モノクロのレーザー複合機。アナログFAX機能は使用せず、SCAN to PDFまたはコピー機として利用。

実際のAさんのリモートオフィス(在宅)

(5)オフィス側の対応

  • ビジネスフォンの短縮ボタンにAさんのIP電話番号をセット。Aさんへの着信を外線転送できるようにした。

  • 共有ファイルサーバーにAさん用レタートレーフォルダーを設置。Aさん宛のFAXや資料を保存ごとに、Aさんの事務所PCにポップアップ表示され見落としを防ぐ。 

LINE利用者ならすぐ使える「LINEWORKS」

(6)その他オフィスとのコミュニケーション手段
営業部ではLINE WORKSを活用し、ビジネスチャットやスケジュール管理をしています。(部外者とは一般LINE接続せず)

  • LINE WORKS他


これらは、以前から利用していた営業モバイル、5月の緊急事態宣言時の在宅ワークなどの仕組みをベースに拡張しました。テレワークもご自宅も大急ぎで準備し、Aさんは8月の連休直前、営業部員が見送る中、遠く奄美へと旅立っていきました。

Aさんと本社営業部員が屋上庭園で記念撮影

移住した離島の生活環境

Aさんが移住した離島の生活をもう少し詳しく説明します。

「島には美しいデイゴの並木道があり、初めて見るような動植物がたくさん」だそうで自然が豊富なのですが、「スーパーやコンビニなど今までは当たり前だったものが何もありません。船で15分の所にひととおりお店がありますが、その船がよく欠航するのでたいへんです。」といった苦労もあるようです。

海辺に続くデイゴの並木道

「でも近所の民宿のお客さんが釣った魚のアラを頂いたり、子供が釣ってきたダツをさばいたり・・・・(Aさん)」と大阪では手に入りにくい様々な食材が得られるようです。

また住居は戸数数十戸の集落で「土日は全員参加の集落作業やゲートボール大会など行事が多い」そうなのですが「早く地域に馴染むためにも楽しんで参加しています。(Aさん)」と地元に溶け込む努力も欠かしていません。

生まれた子の成長を願う土俵入り/ゲートボール大会

実際にテレワークをスタートして

Aさんが移住して4ケ月(12月上旬現在)、テレワーク業務も関係者で試行錯誤を繰り返しながら現在はおおよそ落ち着きを見せています。

Aさんは「テレワークを続けるには、自分への厳しさが必要と思います。日々事務所におられる皆さんをイメージしながら仕事に取り組んでいます。」といいます。

ITツールは「事務所にいるように」はできますが「事務所と同じ」にはなりません。とくに現状のように「事務所ワーカー(多)>>テレワーカー(単)」ならなおさらそうです。

Aさんは「事務所だったら普通に声掛けする事を遠隔ゆえついついネットで事務的に行ってしまう。すると期待していたようには伝わっていない・・・ということが何度かありました。」と振り返り「コミュニケーションには以前より気を使っています」と言います。事務所内に居れば気付きませんが、私たちは周囲の人たちの「声の調子」「体調」「別業務の影響」「ひっ迫感」などの雰囲気情報を無意識に感じ取りながら、状況にあった伝達方法を自然に選んでいるのはないでしょうか。

事務所ワーカー テレワーカーへの配慮

ZOOMなどビデオ会議用のカメラ

事務所では、無駄話をしたり笑い声や電話応対の声などを聞くとはなしに聞いたりして、周囲の社員の存在感をなんとなく感じ取っています。しかし事務所が主体だとそういう「余計なプレゼンス」のない少数テレワーカーは存在感が希薄になり、何かのお声掛や仕事の依頼、相談ごとなど、能力拡充や関係の深まりにつながるイベントを逃してしまうかもしれません。

これには、責任者や事務所ワーカーが注意して接触機会を増やしていく努力が欠かせません。LINEWORKSをもっと柔らかいコミュニケーションに活用することも必要かもしれません。(コロナ禍で社内ミーティングの開催頻度が下がっていますが)これまでの営業アシスタントミーティングにはZOOMでAさんも参加。大阪側の参加者全員がAさんの画面に収まりきっていなかったので広角型ウェブカメラ(110°)に替えました。

新しいライフバランス お子さんの生活は

「私は通勤がなくなったので家から出ることが少なくなりましたが、息子は180度変わった生活にもすぐに慣れ、スッカリ島に溶け込んでいるようで安心です。」とAさん。

通勤時間が無くなり朝夕余裕が生まれ、また時間が限定されず必要なら子供とコミュニケーションできることでライフバランス(仕事と生活の調和)が大きく改善されたのではないでしょうか。

そうしたバランスが、お子さんの安心感につながり、不慣れな土地での生活に早く適応できたのかもしれません。

奄美の自然の中で育つ子供

終わりに

当社の事業は現業中心なので誰でもテレワークが可能という訳ではありません。しかしテレワークに限らず、ライフバランスを配慮し多様な就業形態に対応していく努力を続けていかなければなりません。

Aさんのケースはその第一歩で当社の取組は緒に就いたばかり。Aさんのケースを見て考えることは、「何でもかんでも以前と同じ」ではテレワーカーに負担を強いるということ。むしろ多様な働き方を上手に取り込めるよう「会社全体で揺らぎ直す」ということが肝要ではないでしょうか。

しかしAさんや営業部の努力で今、少しずつではありますが、道が広がりつつあることを実感しています。

2020年12月

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