社長が「これ君が担当してくれ」とご指示の仕事は、無理難題も理不尽も眼精疲労も夫婦不和さえ顧みず「合点承知!任しといてや!」と元気よくお引き受けするのがサラリーマン魂というもんです。(昭和やろか)
しかし中には、その仕事をひたすら一人で張り切って走り続けるヤツもおる。
また中には、「できまへんわぁ。よその係でやってもらえへんやろか」と振り飛ばすヤツもおる。
これが金属の世界にもあって「ムリッ!ほかでやっとくなはれ」というのが、「加工硬化性が高い」という金属。叩いたり曲げたりするとすぐにカチン硬くなる意固地なヤツ。
逆に「加工硬化性が低い」と「大丈夫っす!まだまだやれまーす!」と必死で変形し続けようと粘るヤツなんです。
そやったら、それぞれの金属を引っ張ったらどっちが長く引き伸ばせますやろ?
答えは、「もう無理っす!ほかでやっとくなはれ」のすぐ硬化する(硬化性が高い)奴らの方が伸びる!えっ、意外!なんでそないなるの??? 仕組みはこうです(↓下図参照)
加工硬化性が高いと「オレらもう目一杯。はい隣のチームで頼んます」とすぐ固くなって伸び止まる。そこで隣の連中が「おいおいオレらかい」と伸びだすけど元来ヤル気がない連中なので すぐ固くなる。でまた隣、また隣・・・と固まった連中が長蛇をなすわけです。結果全体としては大きく伸びる!
ところがスーパーやる気君が一人で頑張ると・・・負荷が増せば増すほど彼一点にどんどん力が集ます。最後にはかわいそうにプッツン!一瞬で燃え尽きてしまいます。
中小企業の場合は社員ができないと社長が頑張ってしまうので、そこヘタると致命的です。やる気くんへの集中もまずい? やっぱワテらチョットだけ仕事してあとはどこかへ投げる不良社員がどーしても必要!・・・ってこと・・・なんですかねぇ。
※SUS304などマルテンサイト系ステンレスで起こる「加工誘起マルテンサイト変態によって伸びが増大する」現象を専門家の方は変態誘起塑性(へんたいゆうきそせい)と呼ぶそうです(Wikipediaより)。頭がパンクするのですぐ忘れます。